この記事でできること

病気かどうかを見分けるための記事ではありません。それは医師にしか判断できないことです。ここに書いたのは、慌てて親を責める前に知っておきたいことと、大事な物を先に守っておく方法、それから相談先です。

「勝手に」の中身は、家によって違う

ひと口に「親が勝手に物を捨てる」と言っても、起きていることはさまざまです。子どもが実家に置いていた物を処分した。家の中の物の置き場所を、断りなく変えた。通帳や書類を、どこかにしまい込んだまま思い出せない。

同じ「勝手に」でも、最初の二つと最後の一つでは、意味がかなり違う気がします。前の二つは、親なりの考えで暮らしを変えようとしているのかもしれません。最後の一つは、親自身も困っている可能性があります。

よくある理由は、心配なものばかりではない

70代になって物を減らし始めるのは、珍しいことではありません。体力が落ちて、重い物や使わない物を持て余すようになる。つまずかないように通路を空けたい。自分が元気なうちに片付けておきたい、と生前整理を始める人もいます。

子どもの物を捨ててしまうのも、親からすれば「何年も取りに来ないから」という理由だったりします。腹は立ちますが、悪気があるとは限りません。

置き場所を変えたあとで、どこに置いたか分からなくなる。これも、年齢を重ねれば誰にでも起きることです。政府広報オンラインも、年をとれば誰でも思い出したいことがすぐに思い出せなくなる、と書いています。

それでも気にかけておきたい変化

ただ、同じページには、認知症に早期に気づくための目安も載っています。その中には、物の扱いに関わるものがいくつかあります。

政府広報オンラインが挙げる例家で気づくきっかけ
しまい忘れや置き忘れが増え、いつも探し物をしている眼鏡や鍵、通帳をいつも探している
財布や通帳、衣類などを盗まれたと人を疑う「誰かが持っていった」と言う
料理や片付け、計算のミスが多くなった鍋を焦がす、お釣りの計算に手間取る

一つ当てはまったから病気、というものではありません。気にかけたいのは、物を捨てたり動かしたりすることに、こうした変化がいくつも重なっているかどうかです。

厚生労働省の推計では、2022年に認知症の高齢者は443.2万人、65歳以上のおよそ8人に1人でした。軽度認知障害(MCI)の人は558.5万人と推計されています。身近な話だと考えておいて損はないと思います。

先に守っておきたいもの

理由がどうであれ、取り返しがつかないものだけは先に守っておきたいところです。思い出の品も大事ですが、捨てられると手続きそのものが止まってしまうのは書類のほうです。

次に帰省したときに確かめたいこと

自分の物は、残したいならこの機会に引き取ってしまうのが一番確実です。親の家は、親が暮らしている場所です。置かせてもらっている以上、片付けられることもある、と考えておくほうが気が楽かもしれません。

実家で大事な書類の置き場所を親と一緒に確かめる線画イラスト
書類は取り上げるのではなく、置き場所を一緒に決めるくらいがちょうどいいと思います。

責めずに聞くには

言い方の例

「なんで勝手に捨てたの」と言いたくなりますが、親は責められたと感じて、次から黙って片付けるようになるかもしれません。たとえば「片付けてくれたんだね。通帳とか大事な書類だけは、捨てる前に一声かけてもらえる?」と、お願いを一つに絞るほうが伝わりやすいと思います。これはあくまで一例なので、親との関係に合わせて言い換えてください。

「盗まれた」と言われたときに、すぐ否定するのも避けたいところです。一緒に探して、見つかったら「ここにあったね」で終える。正しいかどうかを言い合っても、親の不安は減らないからです。

迷ったら、相談先は地域包括支援センター

家族だけで判断しない

物忘れや置き忘れのような変化は、認知症以外にも、うつや体の病気などが原因で起きることがあります。政府広報オンラインも、早めに診断を受けることが大切だとしています。気になる変化が続くときは、かかりつけ医や、親の住む地域の地域包括支援センターに相談してください。受診を嫌がる場合の伝え方も、センターで相談できます。

公式情報・公的窓口

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