この記事でできること

「月額◯万円なら年金内でいける」と計算する前に読む記事です。月額に入っていない費用を洗い出して、親の貯蓄が何年持つかまで見積もれるようにします。読むのに10分。見積もりを間違えたときの損失を考えれば、悪くない投資のはずです。

月額13万円、のはずだった

表示は月13万円。年金は月15万円。いけると思って契約したら、オムツ代と通院同行と薬代で毎月2万円以上の上乗せ。貯蓄の取り崩しが始まる。数字を1か所しか見ていないと、こうなります。

防ぐ方法は単純です。月額の外にある費用を、契約前に全部聞いておく。この記事はそのための一覧です。

平均は月9万円、期間は4年7か月

相場観として、公的な調査の数字を置いておきます。生命保険文化センターの2024年度全国実態調査によると、介護を経験した世帯の月額介護費用は平均9.0万円。在宅なら5.3万円、施設なら13.8万円です。一時的な費用(住宅改修や介護用ベッドなど)は平均47.2万円。そして介護期間は平均55.0か月、およそ4年7か月です。4年を超えるケースが約4割あります。

つまり、施設の月額は「4〜5年払い続けられるか」で見る必要があります。1年目に払えるかどうか、ではなく。

もうひとつ。調査や広告の「月額」には、介護保険の自己負担や医療費が入っていないことが多いです。厚生労働省の老人保健健康増進等事業の2024年度全国調査(PwC、2025年3月報告)では、家賃・管理費・食費等の月額換算平均は介護付き有料老人ホームで約26.2万円、住宅型で約11.8万円、サ高住で約15.4万円。ただしどれも介護保険自己負担と医療費は別建てです。住宅型の「平均11.8万円」を毎月の総額だと思うと、要介護度が上がるほど差が開きます。

やることは3つ

この家庭なら先に確認すること

月額だけで見ない

老人ホームの費用でまず注意したいのは、「月額◯万円」という表示だけでは実際の支払い総額が分からないことです。介護度や医療対応、消耗品や通院の同行などで追加費用が出ます。出ない施設のほうが珍しいくらいです。

親の年金でどこまで払えるか、貯蓄を何年分見込むか、家族が支援するなら上限はいくらかを、施設選びの前に確認しておきます。

費用比較は、同じ条件にそろえる

A施設は食費込み、B施設は別途、C施設は介護サービス費が外部契約など、条件が違うまま比べると判断を誤りやすくなります。

家族で話すときは、「高い・安い」ではなく「毎月の通常支払い」「介護度や医療で増える支払い」「入居時と退去時の一時的な支払い」に分けます。親の年金が月15万円、施設表示が月13万円でも、医療費や日用品で月2万円以上かかるなら貯蓄の取り崩しが必要です。

費用項目チェック

老人ホーム費用で確認する項目

老人ホームの費用表を家族で確認する線画イラスト
月額のほかに、別途費用と退去時の精算まで見ておきます。

見落としやすい別途費用

項目 確認すること 質問例
通院・医療 付き添い費・送迎費・往診対応 通院同行は月額に含まれますか
介護度の変化 要介護度が上がったときの費用 状態が変わると追加費用はありますか
消耗品 オムツ、衛生用品、日用品 施設指定購入か、家族持ち込み可か
退去・入院 退去時精算、長期入院時の居室費 入院が長引いた場合の費用はどうなりますか
看取り・医療対応 看取り対応、夜間看護、医療処置 対応できない状態になった場合はどうなりますか

施設へは「月額の目安」だけでなく、「要介護3でオムツを使い、月1回の通院同行と薬の管理がある場合、直近の入居者では総額がどのくらいになりやすいですか」と条件を入れて聞きます。正確な金額は契約前の見積もりで確認しますが、上振れの説明があいまいな施設は比較表で注意印を付けます。

入居時費用がある施設では、償却期間と返還金を聞いておきます。「3年で退去した場合に返る金額」「入院が長引いた場合の居室費」「亡くなった後の精算時期」まで聞いておくと、家族が後で慌てにくくなります。

比較表の作り方

  1. 年金内で払える月額を確認する

    親の年金から固定費と医療費を引いたうえで、施設費に使える金額を見ます。

  2. 入居時費用を年数でならす

    一時金がある場合、何年住む想定で月あたりいくらになるかを考えます。

  3. 最悪ではなく現実的な上振れを入れる

    介護度の上昇や医療費、消耗品を見込み、ぎりぎりの予算にしないようにします。

兄弟で費用を話すとき

「不足分は長男が何となく払う」では後でもめやすくなります。親の年金と貯蓄で何年持つか、家族が補助するなら月額上限はいくらか、医療費や入院費は誰が一時的に立て替えるかをメモに残します。ケアマネジャーや地域包括支援センターには、費用面で無理のない選択肢も相談できます。

比較表には、最安値だけでなく「この金額なら何年続くか」を入れます。親の貯蓄を取り崩す場合は、住まいの費用だけでなく、入院や葬儀、空き家の管理など将来の支払いも残ることを忘れないようにします。

契約前には、見積書の金額と重要事項説明書の費用欄を突き合わせます。口頭説明だけで安心せず、不明な費目は書面に印を付けて施設へ戻します。

次の行動

資料を同じ条件で比べる

費用項目をそろえたら、資料請求後の比較表に落とし込むと候補を絞りやすくなります。

資料請求後の比較へ

重要事項説明書と公表情報で照合する費用

費用の説明は、パンフレットと見積書、重要事項説明書で表現が違うことがあります。契約前に同じ項目へ線を引き、金額が一致しているか見比べます。

契約前の費用照合

費用の上振れが家族の生活を圧迫しそうな場合は、契約を急がず、ケアマネジャーや地域包括支援センターにも別の選択肢を相談してください。

金額はすべて平均値です

注意

この記事の金額は全国調査の平均値。目の前の施設の料金表とは別物です。実際の費用は重要事項説明書と契約書で必ず確かめてください。介護保険の自己負担は所得や自治体で変わるので、迷ったら親の住所地の窓口か地域包括支援センターへ。

公式情報・公的窓口

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数字の見方が分かったら、あとは比較と見学です。